旧住宅公庫が誕生しても、1950年の創設時からしばらくの間は、申込者全員に住宅ローンを提供できる状態になく、抽選に当たった人だけに住宅ローンを貸し付けていました。政府系金融機関であっても、貸し付けるための原資が豊富にあったわけではありません。財投は重厚長大産業への大量の資金供給も担っており、住宅にまで豊富な資金を回せる余裕が生まれるにはかなりの時間を要しました。郵貯や年金積立金といった財投原資に余裕が生まれ、申込者全員に融資できるようになったのは1980年代以降のことです。住宅を購入したい国民や住宅を売りたい不動産会社に、旧住宅公庫の認知度は急速に高まっていきます。加えて、財政制約が強まる中にあって、内需中心の景気対策が叫ばれるようになると、関連する分野への需要誘発効果の高い住宅投資は景気対策の大きな柱とされるようになっていきました。旧住宅公庫による国策住宅ローンを拡大する政策が、毎度そうした景気刺激策の大ダマ(役人の言葉で、資金規模が大きくメディアに注目さやすい政策)として利用されたのは必然でありました。その結果、旧住宅公庫の住宅融資に占めるシェアは高まり、残高も70兆円を超えるなど飛躍的な「成長」を遂げていったのです。
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